土蜘蛛 ― つちぐも ―
- 作者 不明
- 素材 『平家物語』剣巻
- 場所 前場−都・頼光の館 後場−葛城山、土蜘蛛の塚
- 季節 夏
- 時 平安時代
- 演能時間 約50分
- 分類 五番目 鬼畜物
■登場人物
前シテ・・・僧(土蜘蛛の化身)
面:直面
装束:角帽子沙門・大格子・水衣・巣
後シテ・・・土蜘蛛の精
面:顰
装束:赤頭・厚板・法被・半切・
巣・打杖(無しにも)
ツレ・・・源頼光
面:直面
装束:風折烏帽子・厚板・色大口または指貫(長絹)・白骨扇・掛衣
ツレ・・・胡蝶
面:小面
装束:唐織−着流
トモ・・・頼光の太刀持
前ワキ・・・独武者
装束:侍烏帽子・厚板・掛直垂・白大口・小刀・男扇
後ワキ・・・独武者
ワキツレ・・・従者
装束:白鉢巻・厚板・白大口 ・太刀
アイ・・・独武者の下人
装束:肩衣・括袴・脚半
■あらすじ
病床に臥している左馬権頭・源頼光のところへ、侍女の胡蝶が典薬頭(てんやくのかみ=御所の医薬部門の長官)からの薬を持って見舞に来る。心細くなっている頼光を慰めて胡蝶が退出すると、いつの間にか病室の傍らに怪しげな僧が現れ、千筋の蜘蛛の糸を頼光に投げつける。頼光は枕元にあった名刀・膝丸で斬りつけるが、傷を負いながらも僧は姿を消してしまう。物音に驚き駆けつけた独武者は頼光から一部始終を聞くと、血の跡をたどり蜘蛛の退治に行く決意をする。下人が頼光の家来達が土蜘蛛退治に向かう旨を告げる。独武者は郎等を引き連れ葛城山へ赴き古塚を見つけ出す。塚を崩すと中から土蜘蛛が現れ糸を投げつけ襲いかかるが、遂に切り伏せ首を打ち落とす。
■みどころ
『大江山』『羅生門』と並び、源頼光の妖怪退治をテーマにした能。 僧に化けて忍び込み突然糸を投げかけるところや、後半の土蜘蛛退治は蜘蛛の巣が飛び交い圧巻。 見た目が派手なショー的な能。物語も劇的で詞章もわかり易いので人気曲。野外能でも上演が多い。
■ワンポイントアドバイス
土蜘蛛とは大和朝廷時代の未開の土着民。『記紀』『風土記』での蔑称。 この古典的な題材と中世の源頼光伝説が結びついて生まれた能。 蜘蛛の糸は、江戸末期ごろより現在のような細く長い千筋の糸が工夫された。
■小書
入違之伝(観世) 黒頭(観世) 替装束(金剛) 千筋之伝(金剛) 替之型(喜多)