巴 ― ともえ ―
- 作者 不明
- 素材 『平家物語』
- 場所 近江 粟津の原(現・滋賀県大津市)
- 季節 春(一月)
- 演能時間 約1時間10分
- 分類 2番目 修羅物
■登場人物
- 前シテ・・・里女
-
面:増または小面
- 装束:摺箔、唐織、鬘扇
- 後シテ・・・巴御前
-
面:十寸髪、増、小面
- 装束:梨打烏帽子、摺箔大口、唐織壷折、童扇、小太刀、長刀
- ワキ・・・旅僧
- 装束:角帽子、無地熨斗目、 水衣、墨絵扇、数珠
- アイ・・・里人
- 装束:狂言上下
■あらすじ
木曽の僧が都へ上る途中、粟津の原で木曽義仲を祀る社に涙を流して参詣する女に出会う。女は義仲の菩提を弔ってくれるように頼み、自らも亡者であることを告げて消え失せる。夜更けに僧が回向をしていると、甲冑姿、長刀を手にした巴御前の霊が現れ、義仲の最期や、敵と奮戦した様を詳しく語り、僧に回向を頼んで去って行く。
■小書
なし
■舞台展開
- 旅僧(ワキ)の登場。木曽の山家から上洛の途中、粟津の原にやってくる。
- 里女(シテ)の登場、神前で涙を流している。不審に思った僧は女に声をかける。女は、僧の郷里を尋ねて木曽の山家の人だとわかると、同郷の木曽義仲が祀られていることを伝える。僧は女の勧めで神前に手を合わせる。日暮れとなり、女は義仲の霊を慰めてくれるように頼み、自分も亡者であることを告げると、草の蔭へと消えていく。
- 神社に参詣にきた里人(アイ)の登場。義仲と巴の物語を語った後、僧に弔いを勧める。
- 夜更け、僧が回向をしている。
- 巴御前の霊(シテ)の登場。女の身である為に、義仲に最期の供を許されなかった事を憾み嘆く。
- 巴御前は、義仲の戦功から最期の様を、義仲に自分も自害を願ったが女の身ゆえ許されなかった事、敵と奮戦し義仲の死を見届けて形見の品を持って一人落ち延びた事を語り、その執心を弔ってくれるよう僧に頼む。