天鼓 ― てんこ ―
- 作者 不明
- 場所 中国
- 季節 初夏
- 演能時間 約1時間10分
- 分類 4番目
■登場人物
- 前シテ・・・王伯
- 面:小尉または阿古父尉
- 装束:尉鬘・無地熨斗目・水衣
- 後シテ・・・天鼓
- 面:童子
- 装束:黒頭・縫箔または厚板・ 半切・ 法被または厚板壷折、唐団扇または童扇
- ワキ・・・勅使
- 装束:厚板・大口・側次・男扇
- アイ・・・勅使の従者
- 装束:素袍上下
■あらすじ
天から降ってきた鼓、その鼓をを見事に打ち鳴らす少年、天鼓。評判を聞きつけた帝はその鼓を召し上げようとするが、渡すのを拒み鼓を抱き山中へ逃げた天鼓は、探し出され呂水の江に沈められてしまう。
望み通り鼓を手にした帝だが、誰に打たせても音が出ない。帝は天鼓の父・王伯に鼓を打たせるようと勅使を遣わした。王伯は己の歎き悲しみを述べるが、促されて鼓を打つと、音が鳴る。その音を聞き、帝は哀れと涙を浮かべ、管弦講で天鼓の霊を弔うと約束して、王伯を家へ帰す。
天鼓が沈められた呂水の堤に鼓を置き、供養を始めると、天鼓の霊が現れ、供養に感謝して鼓を打ち、舞楽を奏し、やがて夜の明けると共に消えていく。
■舞台展開
- 勅使(ワキ)が登場して天鼓の出生と妙音を出す鼓の事で呂水に沈められた経緯を話す。その後鼓は音を出さず、父の王伯に打たせてみよとの宣旨を持って王伯の家に赴く旨を述べる。
- 王伯(シテ)は老いた身に子に先立たれた悲しみを歎く。
- 王伯は勅使からの宣旨を聞き、勅命にだに鳴らない鼓を父が打ってもだめだと断るが、我が子の形見に帝を拝もうと内裏に向かう決意をする。
- 王伯は親子の離別の苦しみを訴えるが、勅使の強い勧めで父は鼓を打つ覚悟を決める。王伯が鼓を打つと不思議にも鳴り、これぞ親子の證だと涙に咽ぶ。
- 勅使は鼓が鳴った褒美に寶を授け管弦講で天鼓を弔う約束をし、王伯を私宅に返す。
- 中入・・・狂言方が悲しみに沈む王伯を連帰り、弔いの管弦講のことを報じる。
- 天鼓を沈めた呂水の江の辺で亡き跡を弔う法要を始める。
- 天鼓の亡霊が登場 弔いを喜び鼓を打ち、美しい音とともに手向けの舞楽を舞い、現か夢か分らぬままに消えうせる。