俊寛(観世、宝生、金春、金剛) ― しゅんかん ―
鬼界島(喜多) ― きかいがしま ―
- 作者 不明
- 素材 『平家物語』巻二、三巻
- 場所 九州 鬼界島(現・鹿児島県 喜界島)
- 季節 秋
- 演能時間 約1時間
- 分類 4番目物
■登場人物
- シテ・・俊寛
- 面:俊寛
- 装束:角帽子又は黒頭、水衣着流シ、水桶、墨絵扇
- ツレ・・藤原成経
- 装束:水衣着流、墨絵扇
- ツレ・・平康頼
- 装束:水衣着流、墨絵扇、数珠
- ワキ・・赦免使
- 装束:素袍上下 、または大口、直垂、男扇、赦免状、水棹
- アイ・・船頭
- 装束:狂言上下
■小書
落葉之伝(観世)
■あらすじ
鬼界島に流された俊寛、成経、康頼 三人のところへ、赦免使の舟が到着する。赦免状には俊寛の名は記されていなかった。読み落としか、筆者の誤りかと疑う俊寛だが、自分だけが許されていない事実を知り、悲嘆に暮れる。出発の時がきて、とも綱にすがりつき必死に乗船を乞うが、振り切られ、舟は次第に遠ざかり、絶望の思いで一人、島に残される。
■舞台展開
前場は大変短いが、都の場面
- 赦免使(ワキ)、船頭(アイ)の登場。中宮の御産の御祈りの為、国々の流人に赦免があった。成経と康頼の赦免状を持って鬼界島へ行く旨を述べる。
場面は移り、鬼界島となる。
- 成経、康頼(ツレ)の登場。鬼界島に勧請した熊野三社を参詣し帰洛を祈る。
- 俊寛(シテ)の登場。成経と康頼と出会う俊寛。三人は谷の水を酒に見立てて酌み交わしながら、昔を懐かしみ、今の境遇を嘆く。
- 赦免使(ワキ)、船頭(アイ)が乗った舟が鬼界島へと着く。赦免状を持ってきたことを述べる。赦免状を渡され、成経が「〜成経康頼二人赦免ある所なり」と読み上げる
- 俊寛は、自分の名前がないので成経に読み落としだと指摘する。成経は俊寛に赦免状を見せる。これは筆者の誤りかと問う俊寛に、赦免使は、都でも成経と康頼の二人の赦免と承ったことを伝える。
- 罪も同じ罪、配所も同じ配所なのに・・・。と俊寛は悲嘆に暮れる。何度も何度も赦免状を表に裏にと返して見るが、自分の名前はどこにもない。
- やがて赦免使は成経、康頼を舟に乗せて出発しようとする。二人が舟に乗り移ったところ、俊寛は康頼の袂に取り付くが、赦免使に制される。追いすがり、とも綱に縋り付いて乗船を懇願するが、振り切られて舟は深みへと出て行き、俊寛はひれ伏す。
- 舟に乗った人々は、都に帰ればよいようにするからと心強く待つようにと俊寛に言葉をかける。絶望した俊寛は、舟影が見えなくなるまで渚に立ち尽くす。