卒都婆小町 ― そとわこまち(そとばこまち) ―

  • 作者 観阿弥
  • 素材 『玉造小町壮衰書』等
  • 時  平安時代
  • 場所 鳥羽辺り(現・京都市南区)
  • 季節 秋
  • 演能時間 1時間50分
  • 分類 四番目物・老女物

■登場人物

シテ・・小野小町
面:
装束:無紅鬘帯、摺箔、無紅縫箔腰巻、無紅縫入腰帯、縷水衣、女笠、杖、物着ニ風折烏帽子・長絹、老女扇
ワキ・・高野山の僧
装束:角帽子、小格子、厚板、水衣、緞子腰帯、墨絵扇、数珠
ワキツレ・・従僧
装束:角帽子、無地熨斗目、縷水衣、緞子腰帯、墨絵扇、数珠

■あらすじ

高野山の僧が都へ向かう途中、道ばたの朽ちた卒塔婆に腰を下ろして休んでいる老女に出会う。僧は、仏体そのものである卒塔婆に腰を下ろすとは…と、ほかの場所で休むように話すが、老婆は僧の一言ひとことに反論し、仏も衆生も隔たりはない、と説き砕く。僧は老婆の説法を恐れ敬い、三度の礼をする。そして名を尋ねると、それは百歳になろうとしている小野小町であった。

才色兼備で世の男性を魅了した小町も、今は破れ笠に乱れた白髪の憐れな物乞い。しばらく身の憐れを歎いていた小町だが、突然様子が変わり「小町の元に通おう」と叫ぶ。不審に思い僧が問うと、それは小町に憑いた深草四位少将の怨霊であった。昔小町を慕い九十九夜通い詰めながら、ついに思いを遂げずに死んだ少将の怨霊は、生前の百夜通いの様を繰り返すのだった。

■小書

一度之次第(観世流)、三度返之次第(観世流)、中之下略(観世流)、彩色(観世流)、習之留(観世流)

■舞台展開

  1. 高野山の僧(ワキ)と従僧(ワキツレ)の登場。高野山を出て都へ向かう道中であることを述べる。
  2. 老婆(シテ)の登場。昔は驕り高ぶった生活をしていたが、今では下々の女たちにも蔑まれ、恥をさらして生きている身の上を語る。やがて疲れて道ばたにあった朽木に座り込んでしまう。
  3. 日暮れで道を急いでいた僧が老婆を道ばたに座っている老婆を見て、それは卒塔婆なのでほかの場所で休むようにと諭そうとうするが、老婆は、僧の言葉にいちいち反論する。
  4. やがて老婆は「仏も衆生も隔たりはない」と僧を説き伏してしまった。僧は老婆を恐れ敬い、名を尋ねる。
  5. 老婆は自分が小野小町であることを明かす。かつての優雅を懐かしみ、今の身の上を歎いているうちに、小町の様子が一変する。
  6. 「小野小町の元へ通おう」と叫ぶ小町を不審に思い、「あなたがその小町では」と僧が尋ねると、自分は小野小町に思いを寄せていた深草四位少将である、という。
  7. 人目を忍んで小町の元に通い続けた四位少将。百夜通いの最中、あと一夜で思いを遂げることなく死んでしまった身を憂いてか、少将の怨霊は、生前の百夜通いの様を繰り返すのだった。

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曲目解説