熊野 ― ゆや ―
- 作者 金春禅竹、観世元雅 説あり
- 素材 『平家物語』巻十
- 場所 前:京都・平宗盛の邸(現・京都市内)
後:京都・清水寺(現・京都市東山区清水)
- 季節 春
- 演能時間 1時間30分〜40分
- 分類 3番目 鬘物
■登場人物
- シテ・・熊野
- 面:若女・節木増・孫次郎・小面
- 装束:鬘・紅入鬘帯・摺箔・紅入唐織・鬘扇・短冊
- ツレ・・・朝顔
- 面:小面
- 装束:鬘・紅入鬘帯・摺箔・紅入唐織・文
- ワキ・・・平宗盛
- 装束:風折烏帽子・厚板・白大口・長絹又は単狩衣・紋腰帯・男扇
- ワキツレ・・・従者
- 装束:無地熨斗目・ 素袍上下・小刀・鎮扇・持太刀
■あらすじ
平宗盛は遠江の国池田の宿の長の熊野を召し出だして寵愛していた。侍女の朝顔は病気の老母からの手紙を持って熊野を迎えに来る。手紙を見せ宗盛に暇を乞う熊野だが、宗盛は許しを出さず、清水寺に花見への同行を命ずる。花見の宴で熊野は舞を舞うが、折から降ってきた村雨が花を散らすのを見て、母を案ずる和歌を詠む。熊野を哀れに思った宗盛は、許しを出し、熊野は故郷へと帰って行く。
■小書
読次之伝(観世)、三段之舞(宝生・金春・金剛・喜多)、膝行(宝生・観世・金剛・喜多)、短冊之留(金剛)、村雨留(観世)、花之留(金剛)、墨次之伝(観世)
■舞台展開
- 宗盛(ワキ)、従者(ワキツレ)の登場。熊野が母の病気で帰りたいと度々云ってくるが、今春の桜は格別なので花見の伴にと帰してないと云う。
- 朝顔(ツレ)の登場・何人も迎えに行っているが、未だ帰国しないので今回は自分が行くことになったと云う。
- 熊野(シテ)の登場。母の事ばかり思って佇んでいる。朝顔から母の文を貰い、心細くしている状況を感じ、宗盛に文を見せ暇乞いをする。
- 母の文を読み、切々と心情を訴えるが宗盛は帰郷を許さず、花見に同行させる。
- 御車から見る都の花盛りだが、熊野の気持ちは沈みただ母のことばかり脳裏によみがえる。車は清水に到着。熊野は神前に母の祈念をする。
- 宗盛からは酒宴の催促。熊野は心ならずも花見の宴の舞を舞う。折から村雨が降り花を散らすと見て、一首したため宗盛に渡す。
- 和歌を詠み哀れに思った宗盛は帰郷を許し、熊野は花の都をあとに遠江の母のもとへ帰っていく。