山姥 ― やまんば ―
- 作者 観阿弥
- 素材 「撰集抄」、「十訓抄」など
- 場所 摂津国 江口(現・大阪市東淀川区江口)
- 季節 秋
- 演能時間 約1時間40分
- 分類 5番目 鬼女物
■登場人物
前シテ・・・女
面:深井または曲見
装束:鬘、無紅鬘帯、無紅唐織、無地熨斗目又は摺箔
後シテ・・・山姥の霊
面:山姥
装束:山姥鬘、無地熨斗目又は摺箔、半切、無紅厚板壺折、無紅腰帯、山姥扇、鹿背杖
ツレ・・・百万山姥
面:小面
装束:鬘、紅入鬘帯、摺箔、紅入唐織
ワキ・・・従者
ワキツレ・・・供人
アイ・・・里人
装束:長上下
■あらすじ
山姥の山廻りを曲舞に作って謡うのを得意とし「百万山姥」と呼ばれている遊女が、善光寺参詣のため、都の人を伴い上路越の道を行く途中、急に日が暮れ当惑していると、一人の女が現れて宿を貸そうと言い自分の庵へと案内する。女は山姥の歌を聞かせてほしいと頼むのだった。遊女や山姥の曲舞の事に詳しいので不思議に思って尋ねてみると、自分こそ山姥であると明かし、夜が更けてから謡ってくれたら真の姿を現わして舞を舞ってみせると告げて消え失せる。夜が更けて遊女達一行が待ち受けていると、恐ろしげな姿の山姥が現れ、深山の光景、山姥の境涯を語り舞い、山廻りの様を見せて消えて行く。
■小書
白頭、雪月花之舞、二重座、長杖之伝
■舞台展開
- 百万山姥(ツレ)、都の者(ワキ)、供人(ワキツレ)の登場。百万山姥の名の謂われ、善光寺に参詣することになったことを述べる。都を出て、境川に着く
- 一行は里人(アイ)に善光寺への道を尋ねる。三つの道があるが、阿弥陀如来が通ったとされる乗物も不可能な最も険しい上路越の道を行くことにする。
- しばらくすると不思議にも急に日が暮れてきたので一行は当惑する。そこへ女(シテ)が現れ宿を貸そうと言い自分の庵へと案内し、百万山姥に山姥の歌の一節を謡って聞かせてくれと頼む。遊女や山姥の曲舞の事をよく知っているので尋ねると、自分こそ山姥であるが自分の事を露程も心に懸けてくれない恨みを言いに来たと告げる。
- 百万山姥が謡い出そうとするが、山姥は制止し夜が更けてから謡ってくれたら、真の姿を現わして舞を舞ってみせると言って消え失せる。
- あたりが明るくなる。里人は尋ねられて、山姥の素性についての諸説を語り、山姥の一節を謡って、真の山姥の姿を自分にも見せてくれと頼む。
- 夜が更けて遊女が笛を吹いて待ち受けている。
- 後シテ(山姥)の登場。自然の輪廻、山々の姿が述べられる。
- 遊女の謡い、舞う山姥の曲舞につれて、真の山姥の移り舞となる。
- 山姥の語り舞。深山の光景、山姥の境涯を語って舞う。
- 春は花、秋は月、冬は雪をたずねて山廻りする様を見せて消え去る。