通盛 ― みちもり ―

  • 作者 井阿弥原作・世阿弥 改作
  • 素材 『平家物語』 巻九、『源平盛衰記』巻三十七
  • 場所 阿波国 鳴門(現・徳島県鳴門市 兵庫県淡路島 海峡)
  • 季節 夏
  • 演能時間 1時間10分〜20分
  • 分類 2番目 修羅物

■登場人物

前シテ・・・漁翁

面:笑尉、三光尉、朝倉尉の類
装束:尉鬘、無地熨斗目、水衣、緞子腰帯、腰蓑、尉扇、棹

後シテ・・・平通盛の霊

面:中将
装束:黒垂、梨子打烏帽子、白鉢巻、厚板、大口、長絹又は単法被、紋腰帯、負修羅扇、太刀

ツレ・・・小宰相局

面:小面
装束:鬘、摺箔、紅入唐織、紅入中啓

ワキ・・・僧

装束:角帽子、無地熨斗目水衣、緞子腰帯、墨絵扇、数珠、経巻

ワキツレ・・・従僧

装束:角帽子、無地熨斗目、縷水衣、緞子腰帯、墨絵扇、数珠

アイ・・・鳴門の浦人

装束:狂言上下

■あらすじ

阿波の鳴門の浦で僧が平家一門を弔っていると、篝火を焚いた小舟が漕ぎ寄せてくる。舟中の漁翁と女は僧の読経を聴聞し、僧の問いに答えて平通盛と小宰相の局のことを語るうちに、海中へ沈み姿を消す。通盛・小宰相の局を回向していると、武将姿の通盛と小宰相の局が現れ、二人の情愛、通盛の最期の様を語り、僧の読経によって成仏できたことを感謝して、また海へと消えて行く。

■小書

各流ともナシ

■舞台展開

  1. 阿波の鳴門で夏の修業をしている僧(ワキ)、従僧(ワキツレ)の登場。この浦で滅びた平家一門を弔っている。
  2. 後見によって、篝火を付けた舟に見立てた作り物が出される。
  3. 女(ツレ)、老翁(シテ)の登場。舟中で二人は鳴門の夕菩の景色をめで、そして辛い境涯を嘆き悲しむ。
  4. 読経の声を聞いた老翁と女は聴聞しようと楫音を静め唐櫓を抑える。楫音に気付いた僧は、舟を磯近くへ寄せさせる。僧は経巻を開き舟の篝火の明かりで読経する。舟中の二人は喜び、篝火を一層明るくしてさらに読経を乞う。
  5. 僧がこの浦で果てた平家一門のことを尋ねると、二人は小宰相の局が海に沈んだ最期の様子を詳しく語り、自らも海中へと姿を消す。
  6. 鳴門の浦人(アイ)の登場。平通盛と小宰相の局が結ばれた経緯や最期の話をし、僧に二人の供養を勧める。
  7. 僧が通盛と小宰相の局の霊を弔う為、法華経方便品を読誦している。
  8. 小宰相の局の霊(ツレ)と甲冑姿の平通盛の霊(シテ)の登場。僧の読経に感謝する。
  9. 通盛の霊は、一の谷の合戦の前夜に小宰相の局と名残を惜しんだこと、別れの辛さを語る。
  10. 木村源五と刺し違えて討死した通盛自身の最期を語り、修羅道の苦しみを訴え、僧によく弔ってくれるようにと頼む。
  11. 僧の読経によって成仏できた通盛と小宰相の局の霊は、感謝して消えて行く。

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曲目解説