箱崎 ― はこざき ―

  • 季節 秋
  • 場所 筑前国 筥崎宮

■登場人物

前シテ・・・里女
面:小面
装束:摺箔・紅入唐織・袖無・萩箒・鬘扇
後シテ・・・神功皇后の霊
面:神功皇后
装束:摺箔・鬘(みづら)半切・ 舞衣・裲襠・平緒・剣・勾玉・唐団扇・半天冠
ツレ・・・里女
面:小面
装束:摺箔・紅入唐織・袖無・萩箒・童扇
ワキ・・・壬生忠岑
装束:風折烏帽子・厚板・大口・単狩衣・縫紋腰帯・男扇
ワキツレ・・・従者
装束:素袍上下・小刀・鎮扇
アイ・・・所の者
装束:上下素袍

■あらすじ

醍醐天皇に仕える歌人・壬生忠岑がある秋の日、思い立って九州の筥崎宮に参詣の旅に出る。

瀬戸内海を渡り、筥崎宮へ着くと、月光の松原で、一本の松の木の下を掃き清める里の女たちがいた。不思議に思い忠岑が声をかけると、里の女は「これは箱崎の松と申すのです」と答える。その昔、神功皇后が異国との戦いのためにこの地へ下ってきた時、戒(戒律)定(精神集中)恵(心理を見通す智恵)の三学の経文を金の箱に入れ、この松の下に埋めたのが「箱崎」という名がついた起こりだと語り、忠岑にその箱を見せましょう、と約束して姿を消す。

やがて神功皇后が現れ、箱崎では松風も月の光も浜辺を打つ浪もすべて仏法の真理であると謡い、松の下から取り出した箱より経巻を出し、忠岑に見せながら、天女の舞を舞う。そしてふたたび箱は松の下に埋められる。

■舞台展開

  1. [壬生忠岑と従者の登場]
    延喜の帝に仕える壬生忠岑(ワキ)と従者(ワキツレ)の登場。いまだ詣ったことのない九州・箱崎の八幡へ参詣しようと思い立った旨を語る。
  2. [里女たちの登場]
    里女(シテ・ツレ)の登場。秋も深まった月夜、箱崎の松原で、風の音を聞きながら松の下を清めている。
  3. [忠岑と里女の出会い]
    不思議に思った忠岑は里女に声をかける。
  4. [忠岑と里女の問答]
    「なぜこの一本の松の下だけ掃き清めるのか?」という忠岑の問いかけに、「これこそが箱崎の松と申すのです」と、答える里女。そもそもは、神功皇后が戦でこの国に下ってきた時、戒定恵の三学の経文を金の箱に入れ、この松の根元に埋めたのが「箱崎」の地名の起こりであると伝え、「その戒定恵の三学の経文を見せてげましょう」と約束して姿を消す。
  5. [中入]
    [間狂言]
  6. [神功皇后の登場]
    しばらく松の下で待っていると、やがて神功皇后が現れ、経文を納めた箱を取り出して忠岑に見せ、天女の舞を舞う。そしてふたたび、箱は松の下に埋められる。

曲目解説