半蔀 ― はじとみ ―
- 作者 内藤左衛門
- 素材 『源氏物語』夕顔の巻
- 場所 前:都・紫野雲林院(京都市北区紫野雲林院町)
後:都・五条の辺(京都市下京区五条通辺り) - 季節 秋
- 時代 平安時代の想定
- 演能時間 約1時間20分
- 分類 3番目物 鬘物
■登場人物
前シテ・・・里女
後シテ・・・夕顔女
面:前シテに同じ
装束:色大口・長絹・鬘扇
ワキ・・・雲林院の僧
アイ・・・所の者
■あらすじ
都の雲院林の僧が夏の修行の終わりに立花供養を行っていると、1人の女が現れ夕顔の花を手向ける。僧が名を尋ねても答えずに五条辺りに住むことだけを言い残して花の陰に消え失せた。所の者に光源氏と夕顔の恋物語を聞いた僧は夕顔の霊を弔うため五条辺りを訪ねると、軒先に夕顔の花が咲いた荒れ果てた家がある。秋の月を眺め『源氏物語』を忍んでいると、半蔀が押し上げられ夕顔の霊が現れ、夕顔の花が縁で契った光源氏との恋の思い出を語り舞を舞う。やがて夜明けの鐘の音と共にまた半蔀の中に消え去った。
■みどころ
夕顔の女の純粋な恋の思い出が題材。<クセ><序之舞>と、淡い儚い恋の物語が静かに語られる。
■ワンポイントアドバイス
原作の『源氏物語』では突然儚く逝ってしまう、花の命の短さを表現しているが、能では女は夕顔の上とも夕顔の花の精ともとれる二重写しの仕上りになっている。類曲、『夕顔』では儚く消えた恋がテーマになっている。
■語句解説
半蔀:昔の建築様式で寝殿などの板壁の一部。上半分を窓のように押し上げられる蔀戸。
蔀戸:格子の裏に板を張った雨戸。
■小書
立花供養(観世・宝生・金剛・喜多) ※舞台に実際に立花が供えられる。替之型(金剛)