清経 ― きよつね ―
■登場人物
シテ・・・平清経
面:中将
装束:梨子打烏帽子、白鉢巻、厚板又は縫箔、白大口、長絹、太刀
ツレ・・・清経の妻
面:小面
装束:摺箔、紅入唐織、鬘扇
ワキ・・・淡津三郎
装束:段熨斗目、白大口、掛素袍、男扇、男笠、形見(守袋)
■あらすじ
家臣の淡津三郎が平清経の形見の黒髪を届ける為、清経の妻のもとへやってくる。 妻は、夫が入水したことを知らされる。再会の約束をして戦場へ行った夫が、討死や病死ではなく、自ら死を選んだことを怨めしく思い、届けられた形見を返し、悲嘆にくれて床に臥す。 妻の夢枕に清経の霊が現れて、形見を返した恨みを云うが、死を決意するに至った経緯、月の夜に舟の上で笛を吹き朗詠し入水した最期の模様を仕方話で物語る。しかし今は修羅道の戦いの苦しみを訴えるが、最期に唱えた十念の功徳によって成仏できたことを告げて消えていく。
■小書
恋之音取(観世・金春)、音取(宝生・喜多)、披講之出端(金剛)、
曲中之応答(観世)、替之型(観世)
■舞台展開
- 清経の妻(ツレ)が登場、脇座へ着座する。
- 清経の家臣・淡津三郎(ワキ)の登場。清経が豊前の国(九州)柳が浦の沖で自害したこと、形見の遺髪を届ける為に、都へと戻ってくる。
- 清経の妻は淡津三郎から夫の訃報を聞き、討死や病死ならともかく再会の約束を破って自ら身を投げたことを怨めしく思い、悲しみにくれる。
- 妻は、受け取った形見の黒髪を手向け返し、涙しながら床に臥す。
- 清経の霊(シテ)の登場。妻は夢であっても再会できたことを嬉しく思うが、偽りの約束を怨めしくも思う。清経は妻が形見を返してきたことを問う。
- 清経の霊は妻に、願をかけた宇佐八幡に見放されたこと、敵に追われ舟に飛び乗ったが望みを失い、ついに決意して入水した最期の有様を仕方話で語る。
- 修羅道の戦いの有様を見せた後、最期の時に十念を唱えた功徳により成仏できたことを伝えて、消えて行く。