通小町 ― かよいこまち ―
- 作者 観阿弥が原作を、世阿弥が後年手を加える
- 素材 百夜通い伝説、『古事談』など
- 場所 前場 山城国 八瀬(現・京都市左京区八瀬)
後場 山城国 市原野(現・京都市左京区静市市原町)
- 季節 秋
- 分類 4番目 執心物
■登場人物
シテ・・・深草少将の怨霊
ツレ・・・小野小町の霊
面:小面
装束:摺箔、唐織、手篭
ワキ・・・僧
■あらすじ
八瀬の山里に一夏を送る僧のもとへ、毎日、どことも知らない女が木の実や爪木をもってくる。名を尋ねると市原野の辺りに住む姥だと言って消え失せる。女が言い残していった言葉から、小野小町の霊だと察した僧が、市原野へ行って弔っていると、小町の成仏を妨げようと深草の少将の霊が現れるのだった。二人の霊は、僧に説かれて罪障懺悔のために百夜通いの様を見せ、一念の悟りによって成仏する。
■小書
替装束(金剛)、杖之型(宝生)、雨夜之伝(観世)
■ワンポイントアドバイス
・『四位少将』という古名があり、観阿弥が改修し、さらに世阿弥が改訂したものと推定されている。
・小町を扱ったもののなかで、この曲のみが、亡霊として、また、シテではなくツレとして出てくる。なお、シテ(深草少将)は後場のみしか登場しない。
■舞台展開
- 八瀬の山里に一夏を送る僧(ワキ)が登場し、どことも知らない女性が毎日木の実や爪木を持って来ることを述べ、今日も来たならば名を聞こうと言う。
- 市原野に住む里女(シテツレ)の登場。いつものように僧の所へ木の実や爪木を持って行く。
- 女は僧に木の実の数や種類を尋ねられ、《木の実尽くし》を謡う。
- 僧が名を尋ねると、女は市原野の辺りに住む姥だと答え、跡を弔ってくださいと言って消え失せる。
- 女の言葉から、小野小町の霊に違いないと確信した僧は市原野へ行って弔うことにする。
- 小野小町の霊(シテツレ)が現れ僧の弔を感謝するが、そこへ深草少将の霊(シテ)が現れて小町が成仏するのを阻止しようとする。
- 僧は、二人の霊が小野小町と深草少将だとわかり、罪障懺悔のために《百夜通い》の様を再現して見せるように言う。二人は掛け合いで謡いながら、深草少将が小野小町のもとへ九十九夜通った様を見せ、弔の功徳により、二人ともに成仏する。