景清 ― かげきよ ―
- 作者 不明
- 素材 『景清説話』『平家物語』巻十一
- 場所 日向・宮崎県宮崎市下北方町
- 季節 不定
- 時 鎌倉時代初期
- 演能時間 約1時間20分
- 分類 4番目物
■登場人物
シテ・・景清
面:景清
装束:無地熨斗目または小格子厚板−着流(または色大口)・
水衣・角帽子、墨絵扇、杖
ツレ・・・人丸(景清娘)
面:小面
装束:唐織−着流
トモ・・・人丸の従者
ワキ・・・里人
■あらすじ
平家の勇将・悪七兵衛景清は、平家没後も生き延び源氏側に捕らえられ、源氏の世を見ることを拒み、 自ら両目をえぐり盲目となり、日向の国に流され乞食同然の身となっていた。 そこへ鎌倉から娘・人丸が従者を伴い父を探しにやってきて、まさかそれが父とは知らず、藁屋に住む乞食に 父・景清の消息を尋ねる。景清は哀れな境遇にある我が身を悟り、我が子の行末を案じて名乗らずに他を探す ようにと言った。人丸たちは里人に会い、先程の乞食が父と知り驚き、里人のとりなしで親子の対面を果たす。 泣いてすがる人丸を、身を恥じつつもやさしく抱き寄せ、娘の頼みにより、屋島の合戦で敵の三保谷と兜の錣 を引き合った武勇談を聞かせ、我が身亡き後の回向を頼んで娘を帰らせる。
■みどころ
かつての勇将が落ちぶれ乞食の身になった痛ましさと、悲劇的背景の中での親子の情愛を描いた作品。 修羅物での武将は亡霊となり現れ武勇談と修羅道の苦しみを語る形式が多いが、この曲では生きながら地獄 の苦しみをの日々を送っている景清の有様を現している。しかしながら凛々しい武将の剛強な意思を今もなお持ち続ける景清を表現している。
■ワンポイントアドバイス
景清の面には鬚のあるものと無いものの二種類があって、二通りの演出がある。鬚のある面を使い大口姿で床几にかけると、過去の威風を残した景清を強調。鬚のない面を使い着流し姿で安座していると零落した景清を強調。人丸の従者の役は、喜多流ではワキ方が観世流ではシテ方が演じる。
■小書
松門之応答(しょうもんのあしらい)(観世・金春) *松門の謡の前に笛が特別な旋律を奏する。
小返 (観世)
大返 (金剛)
杖之型 (金剛)
■舞台展開
- 娘と従者の鎌倉から日向への道行
- 景清の独白
- 娘達は父とは知らず景清の所在を尋ねるが、父は偽る
- 娘達は里人に景清の所在を尋ねる。前に逢った乞食こそが父とわかり娘は嘆く。そして里人に取成しを頼む。
- 里人に旧名を呼ばれ苛立つ景清
- 父娘の対面
- 屋島の合戦を語って娘に聞かせる
- 娘に回向を頼み、永遠の別れをする