姨捨 ― おばすて ―
- 季節 旧暦八月十五日
- 演能時間 2時間20分〜30分
- 分類 鬘物、老女物
(三老女の一つに数えられる至高の曲)
■登場人物
前シテ・・・里女
後シテ・・・老女
ワキ・・・都人
ワキツレ・・・同行者
アイ・・・里人
装束:狂言長上下
■あらすじ
都の人が更科の月を眺めようと姨捨山にやって来ると、一人の女が現れる。姥捨の跡はとの問いに、女は「我が心慰めかねてう更科や 姨捨山に照る月を見て」と詠んだ古人の跡を教え、自分もここで捨てられた者だ、今夜は月の出と共に現れて夜遊を慰めようと言って姿を消す。やがて女は老女の霊として現れ、月を愛で、月にちなんだ仏説を語り、昔を懐かしんで舞を舞う。夜が白々と明けて都の人が帰ると、また、ただ独り山中に残される。
■小書
前後之替(観世)、弄月之舞(観世)
■舞台展開
- 都に住む一行(ワキ・ワキツレ)が更科の月を眺めようと姨捨山へと着く。
- 里女(シテ)が現れる。都人が姨捨の在所を尋ねると、里女は「我が心慰めかねてう更科や 姨捨山に照る月を見て」と詠んだ旧跡を教える。都人と里人は辺りの風景をしばらく見入る。
- 更科の月を見に来たことを都人が言うと、里女は月の出と共に現れて夜遊を慰めようと言い、この山に捨てられた者で名月の秋毎に執心を晴らそうと現れ出るのだと言って消え失せる。
- 里人(アイ)の登場。都人に姨捨伝説を語る。
- 都人たちが月の出を賞している。
- 老女の霊(シテ)が現れ、姨捨山の秋の月をたたえる。
- 老女の霊は、老いの姿を恥じつつも来たこと、儚い世であるから草花を愛で月に興じて遊びたいものだと言う。
- 月の名所 更科の月、姨捨山に曇りなく満ちる月を賞する。阿弥陀如来や大勢至菩薩のことなど月にちなんだ仏説を語り舞う。
- 月光の下、老女の霊は昔を懐かしんで舞を舞う。
- 姨捨山に照る月を見て昔を偲び懐旧に耽る。夜が明けはじめ、帰る都人を見送ると、また独り、姨捨山に残される。